はじめに
近年の保安基準改正の中でも、特に注目されているのが
「後退時車両直後確認装置(リアソナー、バックカメラ)」です。
自動車の安全基準は国際基準との調和により年々強化されており、
後退時の事故防止を目的として新たに義務化された装置の一つです。
この記事では、
自動車検査の実務に関わる視点から
後退時車両直後確認装置についてわかりやすく解説します。

① 後退時車両直後確認装置とは?
定義(保安基準の考え方)

後退時車両直後確認装置とは、
車両の直後の障害物を運転者が確認できる装置のことを指します。
具体的には次のいずれかが該当します。
- バックカメラ(決められた範囲が確認できること)
- ソナー等の検知システム(標準装備、国際基準に適合したものであること)
- ミラーによる直後確認装置(2シーターなどの制約があり)
保安基準改正では、
「車両直後のエリア内の障害物を確認できる装置」を備えることが求められています。
② なぜ追加されたのか?(改正の背景)

後退時事故の増加が背景
駐車場や住宅地での
- 子どもの巻き込み事故
- 低速後退時の接触事故
これらを防止するため、
国際基準(UN-R158)が採択され、
日本の保安基準にも導入されました。
つまり、
「見えない死角」を装置で補う安全基準強化です。
③ 義務化の適用時期

検査記事では必ず押さえたいポイントです。
段階的に義務化されています
- 新型車:令和4年5月以降
- 継続生産車:令和6年
5月
(※延期され11月から適用、実質適用されるのは令和6年11月からの車両が対象)
2022年5月以降に登場する新型車には、
後退時車両直後確認装置の装備が義務化されています。
さらに既存モデルの継続生産車も順次対象となりました。
④ 検査現場での確認ポイント

装置の有無
まず基本は
「確認装置が装備されているか」
対象車両で未装備の場合、
保安基準不適合となります。
保安基準では、
「国際基準に適合したリアソナー」か「定められた範囲を確認できるバックカメラ」
のいずれかを装備するとと規定されています。
正常作動の確認
検査実務では
- モニター映像の表示
- ソナー警告音
- 作動タイミング(Rレンジ連動)
などの正常作動が重要です。
装置が装着されていても
作動しない場合は不適合となります。
⑤ カスタム車両の注意点(超重要)

👆バンパー取外しによるセンサー消失
この基準が適用される車には元々リアソナーが装備されているものがほとんど。
これは国際基準(協定規則第158号)に適合したものが装備されていますが、
取付け場所が変わったり取外してしまったりすると、
その国際基準に適合しなくなる恐れが生じてしまいます。
なので、以下のカスタム時は要注意
- バンパー交換でセンサー消失
- 車高アップorダウンによりリアソナー取付位置の変更
この場合、
「国際基準に適合していること」をユーザーが証明しなければなりません。
(メーカーが実施する試験なので個人では実質不可)
⑥ よくある質問
「リフトアップすると車検に通らない?」
いいえ、もう一つ方法があります。
保安基準に適合するバックカメラを取付ければ問題ありません。
ただし、きめ細かい基準が定められているのであればOKではありません。
少なくとも、
・自動車の両側面の最外部に接する車両中心線と平行な鉛直面に挟まれた範囲内
に、車両最後端部より0.5m後方及び1.35m後方の車両中心線に直交する鉛直面に沿っ
て地上に引かれた線の全体(下図のオレンジ線)
・自動車の両側面の最外部に接する車両中心線と平行な鉛直面及び車両最後端部よ
り3.5m後方の車両中心線に直交する鉛直面の内側に、互いに交わる鉛直面に接する
ように車両中心線に対して対称に地上に設置された高さ80cm直径30cmの円柱の全体
が確認できるものであることと定められています。

⑦ 対象となる車両範囲
原則として
- 乗用車
- 軽自動車
- トラック
- バス
など、ほぼすべての四輪車が対象です。
(二輪車・一部特殊車は除外)
⑧ 今後の検査実務への影響
今後は
- 新型車=ほぼ100%装着済み
- 法規対応センサー標準装備車の増加
例として、最近の車種では
法規対応でリアソナー標準装備化も進んでいます。
つまり検査では
「確認しない時代 → 作動確認する時代」
へ変化しています。
⑨ 後退時車両直後確認装置のまとめ
近年の保安基準改正により、
後退時車両直後確認装置は
単なる便利装備ではなく「安全基準上の必須装置」へと位置付けられました。
特に2022年以降の新型車や
2024年以降の継続生産車については、
装置の有無だけでなく正常に機能しているかまでが
保安基準適合の判断対象となります。
今後はカスタム車両や架装車両の検査においても、
後退時の視認性確保という観点から
より実務的な確認が重要になるでしょう。
安全確保と法規適合の両立という意味でも、
後退時車両直後確認装置は
これからの車検・検査において欠かせない重要項目の一つと言えます。


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