
検子ぉ!
ちょっと教えなさいよ!
この前、
「オーバーフェンダーは片側1cmまでならOK」
って話してたじゃない?
そのあと自分でも調べてみたんだけど、
「簡易的な取付なら手続き不要」
って書いてあったのよ。
ってことは、
2cmを超えてても大丈夫ってことなの?
ちゃんと分かるように教えなさいよ!


確かに!
この表だけを見ると、
「簡易的な取付なら、極端な話、
何cm寸法が変わっていても問題ないんじゃないの?」
って見えちゃうわよね。

ってことはアンタ、
アタシに間違ったこと教えたってこと!?
2cmまでって言ってたの、
ウソだったの!?

前にも言ったでしょ?
部品を取り付ける以上、
まず大前提になるのは
「保安基準に適合していること」なのよ。
これは指定部品だろうが、
指定外部品だろうが関係ないわ。

つまりどういうことよ?
簡易的な取付なら
2cm超えててもOKって話なの?
それともダメなの?
回りくどいのはいいから、
ハッキリ教えなさいよ!

この前のタイヤのはみ出しを例に説明するわね!
まず、
タイヤの突出に関する基準っていうのは、
保安基準でいう「第18条 車枠及び車体」
の項目に定められているのよ。

うぅ…
また難しい法律の話が始まったわ…

保安基準って、
条文だけだとかなり分かりづらいのよ。
だから実際は、自動車技術総合機構が
公開している「審査事務規程」を読むと、
かなり分かりやすいわよ!

いやいや…
その“審査事務規程”ってやつも
十分難しいんだけど!?

退屈そうにしないで!
タイヤは車体からはみ出しちゃダメって
書いてあるんだけど、
そもそもその「車体」っていうのは、
“振動や衝撃で緩まないように
取り付けられていること”
っていう条件があるのよ。

ふわぁ~……
なんかもう眠くなってきたわ……

つまり、
手で簡単に脱着できるような取付方法だと、
「それって本当に走行中の振動や衝撃に
耐えられるの?」
って話になってくるのよ。
だから基本的には、
ボルトやビスみたいに
工具を使って確実に固定されている必要があるの。
そして、
オーバーフェンダーをそうやってしっかり固定して、
初めて「車体の一部」として扱われるってことね

じゃあさぁ~……
蝶ネジで取付けてる場合は
どうなるのよぉ~……?
工具なくても外せるけど、
あれってOKなのぉ~……?

ちょっとぉ!
人が真面目に説明してるのに、
なに寝ぼけながら質問してるのよ!
そもそも、
蝶ネジでオーバーフェンダー付けてるなんて
私も聞いたことないけど、
もし突起していたり、
通行人の服を引っかけるおそれがあるような状態なら、
それだけで車検不適合になる可能性があるわよ!

……ん?
そういえば前から気になってたんだけどさぁ、
軽トラの荷台に幌を付けた場合って、
あれ車検に通るの?
ちょっと眠気吹っ飛んだわ。
それ地味に気になるんだけど!


……話そらしたわね。
幌については、
いわゆる「指定外部品」になるから、
簡易的な取付方法でも、
原則としては問題ない扱いなのよ。
だから、
さっきアンタが言ってたみたいな
蝶ネジでの取付けでも、
原則OKって考え方になるわね。
まぁ……
オーバーフェンダーの話で
眠そうにしてたくせに、
急に食いついてきた時点で
なんとなく察してたけど。

ってことはさぁ?
極端な話、取付方法が簡易的なら
何cm高さが変わってもOKってことになるわよね?
じゃあお客さんから
“高さ4mの幌を付けたい”
って相談されても蝶ネジで付けてるなら
問題ないってことじゃない!」


そこを勘違いしちゃダメよ!
確かに、指定外部品は簡易的な取付でも
認められるケースはあるわ。
でもね、だからって無制限に
寸法変更していいわけじゃないの。
保安基準では、自動車の高さには上限があって、
原則3.8mまでって決まっているのよ。
これは、指定外部品を簡易的に取り付けた場合でも同じ。
もちろん、指定部品をボルトやビスで
しっかり固定した場合でも同じよ。

なるほどねぇ~!
ってことは、
高さが3.8mを超えなければ、
蝶ネジで取付けてもOKってことなのね!

残念だけど、
そう単純な話でもないのよ。
まず、
うちの検査ラインは
高さ2.5mまでの車両しか入れないの。
それに、警察庁が所管している
道路交通法の関係で、軽自動車は
高さ2.5mを超えると
制限に抵触する可能性があるって話もあるのよ。

えぇ~!?
3.8mまでOKって言っといて、
今度は2.5mはダメって話になるの!?
もう法律だらけで
ワケ分かんなくなってきたわよ~!
うちの検査ラインで通せないなら
軽の陸運局に持ち込めば?

軽自動車検査協会のことね。
ほとんどの事務所が
高さ2.5m以下じゃないと
検査ラインに入れないみたいなのよ。
それに、車高が上がりすぎると、
今度は「最大安定傾斜角度」の基準も
かなり怪しくなってくるわ。
ただ付けばいい、高さ制限だけ守ればいい、
って話じゃないのよ。

最大安定傾斜角度ぉ?」
いやいや、
幌なんてそんな重い物じゃないでしょ?
重心が極端に上がるわけでもないし、
そこまで問題になるとは思えないんだけど?

試しに計算してみたわ!
結論から言うわね!
40°まで傾けても転倒しない計算だったわ。
だから、最大安定傾斜角度については
ギリギリOKってところね!

えっ!?
でも最大安定傾斜角度って、
たしか35°以上必要なんでしょ?
40°なら余裕でクリアしてるじゃない!
なんで“ギリギリ”って言い方なのよ!?

それは“実測値”の基準の話よ!
最大安定傾斜角度は、
実際に35°以上あることが必要なんだけど、
計算で確認する場合は、
誤差なんかも考慮して、
5°以上の余裕を見込む考え方があるの。
だから、
計算上は40°以上ほしいってことね。
ちなみに今回は、
幌の重量を90kg、
重心高を仮に地上200cmとして
計算してみたわ。
かなり不利な条件で
設定してるのよ。
じゃあ次は、
この計算方式について
順番に解説していくわね!

モーメント法ってやつでしょ?
アタシ、
計算とかほんっと苦手なのよ……
もうその時点で頭痛くなってきたから、
それ以上の説明はいいわ……!

せっかく分かりやすく
教えてあげようと思ったのに~!
まぁいいわ。
とりあえず今日のポイントは、
「簡易的取付=何でもOK」
じゃないってことね!
保安基準、
構造変更、
道路交通法、
検査設備、
重心が上がったら最大安定傾斜角度――
ちゃんと全部つながってるのよ!

もうダメ……
頭の中が“最大安定傾斜角度”でいっぱいよ……
でもまぁ、
“蝶ネジなら全部OK”ってワケじゃないのは
なんとなく分かったわ!
……とりあえずアタシ、
幌より先に脳みその補強が必要かもしれないわね……
今回のポイント
- 指定部品、指定外部品かかわらず、部品を取付ける際は保安基準に適合していることが大前提
- 自動車の高さは3.8mが限度(軽自動車の場合は物理的に2.5mまで)
- 人が話している最中に、居眠りをしてはいけない


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